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理事長ごあいさつ


JGOG理事長 杉山 徹
(岩手医科大学医学部 産科婦人科学講座)

特定非営利活動法人(NPO)婦人科悪性腫瘍研究機構(JGOG: Japanese Gynecologic Oncology Group) は婦人科悪性腫瘍患者に対する最適・最新の診断・治療の確立を目指して、全国の主要大学やがんセンター等が連携した臨床研究グループです。

アメリカGOGや世界的な組織集合体GCIGなどの臨床研究グループと連携した試験も行っており、JGOGで行った試験結果が世界の治療ガイドラインに掲載され、標準的治療として認知されたものもあります。このようにガイドラインに掲載される標準的治療の確立には、臨床試験から導かれた高品質なデータが必須です。

JGOGでは患者さん方のご協力で得られたデータはJGOGとは独立したデータセンター(北里大学臨床研究機構)で厳重に集積・管理され、患者データは匿名化されます。解析された結果は、当該試験が終了後に我々研究者に開示され、我々はその結果を学会で発表し、論文を作成して世界に発信します。

過去の治療より統計学的に優れた結果が得られれば、その新しい治療法が標準的治療法として書き換えられます。患者さん、研究者(医療者)、データセンターのCRC (clinical research coordinator)や生物統計家、そして企業の方々の多職種目線で厳格に遂行される臨床試験の目的は患者さんにその時点で最も有効な治療法をお届けすることです。

JGOGは古い歴史を有していますが、2002年からNPO(東京都)として組織改革を進め、より厳格な臨床研究グループとしての活動を強化してきました。

2015年1月現在、会員数は約1000人、厳格な施設認定基準を満たした参加登録施設数は197施設です。上述のようにJGOGの最大の役割は多施設共同臨床研究事業です。
意義ある臨床研究を遂行し、世界中の婦人科悪性腫瘍患者さんにより良い治療を提供することです。

少し具体的に示しますと、子宮頸がん委員会、子宮体がん委員会と卵巣がん委員会、さらに支持・緩和医療委員会、放射線治療委員会、病理委員会等から構成され、データセンターと協力して患者さん目線も入れてより厳格なプロトコル(臨床試験実施計画書)の作成を行います。内部ではプロトコル審査・評価委員会も開催され、一方、独立した監査が定期的に参加施設に入り、適正なプロトコル治療が行われているかのチェックも行われます。これはアメリカGOGやGCIGとの共同試験でも同様です。

JGOG第二の矢は若手臨床研究者への教育事業です。毎年、若手研究者から公募し、一定数を集め、3日間寝泊りをともにして臨床研究とは?それを遂行するには?医療倫理とは?を膝を交えて議論し、その後、模擬プロトコルの作成を行います。

さらに、若手医師の短期海外研修や市民公開講座、さらに臨床試験の普及を意図した「婦人科がん会議」等の支援も行っています。確実に婦人科がん若手研究者育成は進んでおり、今後、さらに良い医療への貢献につながると期待できます。 臨床試験遂行には多額の資金が必要で、欧米では厳格な審査を経て公的資金が投入されています。

一方、現状の日本の体制では公的資金投入はごく限られています。会員会費に加え臨床試験にご理解いただいている企業(賛助会員)からの寄付金が事業費の原資となり、データセンターや事務局経費や教育事業に用いられています。臨床研究不正などが報道される中ですが、JGOG臨床研究では研究者や賛助企業はデータ管理・解析はできません。

我々は厳格に管理された結果をデータセンターからいただき、それを患者さん方にお届けします。この高品質なデータこそが将来の患者さん、そして我々研究者に還元される宝であり、モチベーションでもあります。JGOGは組織体制を強化して、会員・施設の方々の意識をより高め、限られた原資から最大限の結果を出していければと思います。

第三の矢はすべての目線の共有です。関係各位のさらなるご努力をお願いすると同時に、国民の皆様方のご理解もいただければと思います。

最後に岩手が生んだ新渡戸稲造の言葉を紹介させていただきます。JGOGの思いと共感します。

「私共は金力が無くとも、正しい動機によってなされたものは、かように立派に成功するということを天下に示さねばなりません」

平成27年1月吉日

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