理事長ご挨拶
JGOG理事長 岡本 愛光
(東京慈恵会医科大学産婦人科教室 主任教授)
この度、2022年1月より特定非営利活動法人(NPO)婦人科悪性腫瘍研究機構(JGOG: Japanese Gynecologic Oncology Group)理事長を拝命いたしました岡本愛光でございます。
特定非営利活動法人(NPO)婦人科悪性腫瘍研究機構(JGOG: Japanese Gynecologic Oncology Group)は婦人科悪性腫瘍患者に対する最適・最新の診断・治療を確立することを目指して、全国の主要大学やがんセンター等が連携した臨床研究グループです。JGOGの歴史は古く、野田起一郎先生が1981年に子宮頸癌化学療法研究会を開設されたのをもとに、翌年の1982年には婦人科化学療法研究会として発展し、2002年に特定非営利活動法人婦人科悪性腫瘍研究機構としてNPO法人の認証を取得し現在に至っております。その間、野田起一郎先生が2008年まで28年間理事長を務められ、その後落合和徳先生が2009年から2014年の6年間、杉山徹先生が2015年から2018年の4年間、榎本隆之先生が2019年から2021年までの3年間、それぞれ理事長を務められていらっしゃいました。2022年現在、JGOGは登録参加施設181、施設正会員数1046名という本邦でも非常に大規模な臨床研究グループとなり、本会での研究もLancet OncologyやJournal of Clinical Oncologyをはじめとした一流医学雑誌に数多くの質の高い臨床研究論文を発表してまいりました。
昨今では、婦人科腫瘍における分子標的治療薬の導入に伴い、臨床試験の方法もこれまでの臓器別に行うものからバスケット試験(分子マーカーの検索によって対象症例を選択して臓器横断的に行う臨床試験)へと大幅に変わりました。前理事長の榎本先生は、JGOGがこれらの時代のニーズに応えられるよう、体制への再編に取り組まれ、トランスレーショナルリサーチ(TR)委員会を独立した委員会として立ち上げて分子標的薬を用いた臨床試験の発案・遂行にあたられました。また、企業寄付が年々減少している中で今後の益々の臨床研究費用の増加に備え、受託臨床研究や医師主導試験、さらには日本医療研究開発機構(AMED)などの競争的資金を恒常的に獲得できる体制作りに注力されました。その結果、全国の会員が一丸となり、現在までも多くの公的資金を獲得しております。今後も競争的資金を恒常的に獲得できる体制を維持し、世界レベルの臨床研究を安定して行える運営を目指してまいります。
杉山徹先生がGynecologic Cancer Inter-Group (GCIG)・Korean Gynecologic Oncology Group (KGOG)だけでなく、その他のアジア諸国との連携を打ち出され、その意志を引き継いだ榎本前理事長はEast Asian Gynecologic Oncology Trial Group(EAGOT)を設立されました。私はその歴代の理事長の意志を継承しながら、さらにJGOGを世界に注目されるアクティブな臨床研究グループにしていくよう努めてまいります。
杉山徹先生、榎本前理事長が掲げておられました「臨床研究」「教育」「すべての目線の共有」のJGOGの3本の矢を基盤として、新設のEAGOTをはじめとしたアジア・欧米各国との積極的な交流による臨床研究の発展とともに、次世代を担う若手を世界レベルで活躍できるような人材へと育成する教育へも励んでまいります。これからも婦人科悪性腫瘍に対する最適・最新の診断・治療を確立するために、多くの国際的臨床試験にも参加できるようJGOG会員一同努めてまいりますので、ご指導・ご鞭撻・ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
令和4年3月吉日